Cookie規制で何が変わるのかを、分かりやすく解説

現在、インターネットは人々の生活の基盤となっており、コミュニケーションやショッピング、気になる情報の検索などに活用され、日常生活の多くの時間が費やされています。そのため、かつて人々がテレビ視聴に充てていた時間というものが徐々に少なくなり、広告業界においても影響を及ぼすようになりました。実際2019年には、テレビメディア広告費が1兆8612億円であるのに対し、、インターネット広告費は2兆1048億円とテレビメディア広告費を大きく上回り、現在に至るまでその差は広がり続けています。広告費の推移からも伺えるように、テレビメディア広告は徐々に衰退し、インターネット広告が今後も拡大していくことが期待されています。しかし、インターネット広告を出稿する上で重要なCookieが規制されるという問題が生じ、インターネット広告に暗雲が立ち込めています。今回の記事では、Cookieの説明から、Cookie規制までの背景と今後、Cookieが規制されることによって何が変わるのかについて分かりやすく解説します。

Cookieとは

Cookieとは、ユーザーの閲覧履歴やログイン情報などのデータを一時的に記憶しておくWeb上の足跡のようなものです。この情報を利用し、ユーザーがどこ(検索や広告)からきて、どのような商品を見て、何を購入したのかという情報を分析し、Webサイトを利用するユーザーの利便性を高めるための工夫やリターゲティング広告などに活用されています。

Cookieの種類

ファーストパーティークッキー

ファーストパーティークッキーとは、ユーザーがアクセスしているサイトから発行されるクッキーであり、サイト内ユーザーの情報のみを取得し、主にユーザーのログイン情報の保持やショップサイトでのカートの中身の保持などに用いられます。

例えば、ECサイトを閲覧している途中で別サイトに飛んでしまった場合でも、再度、同じECサイトに訪れたら、買い物を途中から始められたり、ログインをする際にパスワードやIDを入力しないといけないサイトでも、次回ログインする際に入力作業を省くことができるのもファーストクッキーによるものです。
 

サードパーティークッキー

サードパーティークッキーとは、ユーザーがアクセスしたサイト以外のサイトから発行されるクッキーであり、複数のサイトを横断してユーザーの情報を取得することができます。サイトを横断して情報収集・分析することができるため、アフィリエイトの成果計測や追跡型の広告配信等に用いられます。

例えば、リターゲティングと呼ばれる追跡型の広告手法を用いて、自社のサイトやWeb広告をクリックしたことのあるユーザーが他サイトや他社の商品を見ている際に、自社の広告を表示させたり、閲覧中の他社商品の近くに、自社の類似商品の広告を表示させる際に使用されます。
 

Cookieレスの時代が来ている

では、なぜCookieは規制されるのでしょうか。これには、サードパーティークッキーがプライバシーの観点から問題視されていることが大きな要因です。CookieはユーザーがWeb上で行う作業の短縮や情報の保持に役立つ反面、必要以上にユーザーの個人情報が筒抜けになってしまうため、Cookieによる情報取得が制限されるようになってきています。実際にEUでは、2018年の5月からEU一般データ保護規則の元、Cookieの規制が始まり、日本でも、2022年の4月から施行される改正個人情報保護法により、本格的に規制されます。

では、Cookie規制によって何が変わるのでしょうか。

一番大きな影響を受けるといわれているのが、先ほどサードパーティークッキーの事例でもご紹介したリターゲティング広告です。リターゲティング広告はサードパーティークッキーを利用することで、ユーザーがサイトや広告から離脱した後も、追跡して広告を表示させることができますが、サードパーティークッキーが規制されると、ユーザーを追跡して広告を表示させることが出来なくなるからです。これにより、広告業者はユーザーをサイトをまたいで自社の商品をユーザーにアピールすることが出来なくなり、広告での集客が困難になるため、事業者は広告以外での集客方法や新しい広告手法について模索していく必要があります。
 

特にサードパーティークッキーを活用したリターゲティング広告は新規ユーザーを獲得する際のコストパフォーマンスが良く、利用する企業が多いです。しかし、Cookieレスの時代が来ることで、リターゲティング広告は規制されてしまうため、多くの企業はリターゲティング広告以外の手法を用いた広告やマーケティング活動に取り組む必要があります。そのためにも、顧客のニーズや属性、商品満足度といった顧客情報の解像度を高め、消費者に選ばれるための仕組みづくりや本質的なマーケティング活動を行う必要があるのではないでしょうか。