PDCAサイクルは時代遅れ!?
注目のOODAループを徹底解説

ビジネスには、フレームワークと呼ばれる思考の枠組みが存在し、これを活用することで、目標達成や業務改善などにおいて、一定以上の成果を出すことが可能となります。

その代表的なものがPDCAサイクルです。

PDCAサイクルとは、Plan(企画する)、Do(実施する)、Check(評価する)、Action(改善する)というサイクルを繰り返すフレームワークです。多くのビジネスシーンでも活用されています。

しかし近年では、OODAループと呼ばれる、業務を効率的に進めるためのフレームワークが注目を集めており、数多くの企業で導入されています。

今回の記事では、OODAループのメリット・デメリットや、どのようなシーンにおいてOODAループが役立つかについて解説します。
 

OODAループとは

OODAループとはObserve(観察する)、Orient(判断する)、Decide(決定する)、Action(行動する)の頭文字を集めた言葉です。

これは、アメリカ空軍のジョンボイド大佐が提唱した、意思決定と行動に関するフレームワークであり、元々は航空戦に挑むパイロットの意思決定のためのものでした。

現在では、政治やビジネスなどのあらゆる分野で導入されています。
 

OODAループのメリット

スピード感を持って物事を進められ、突然の出来事にも対応できる

OODAループは、PDCAのように計画を立て、実行する際に承認を得る必要がなく、その場の状況の観察・把握から仮説構築に入ることができるため、実行までのプロセスを短くすることができ、突発的な出来事に対しても、現場レベルで決断・実行し、素早く対処することができます。

また、マーケティングにおいては、刻一刻と変化する市場や顧客のニーズに合ったサービスの提供を実施することが可能です。

OODAループのデメリット

PDCAサイクルより失敗する確率が高い

OODAループは状況に対して素早く決断・実行できる分、PDCAサイクルに比べると綿密に戦略を練る時間が少ないため、準備不足が原因でプロジェクトが失敗してしまうことも懸念されます。

スピード感よりも、着実性が求められるプロジェクトにおいては、OODAループを用いるのではなく、PDCAサイクルを用いて時間をかけて計画を練って実行することをおススメします。
 

OODAループの手順

Observe(観察する)

まずは現状を観察し、情報収集をおこないます。

この際、個人的見解は入れず、事実に基づいた情報を収集することが重要です。

<個人的な見解の例>
・「~~のような気がする」
・「~~と思われる」

<事実に基づいた情報の例>
・「△△という店舗は、9時から24時まで営業しており、22時ごろまでは1時間当たり10万円の黒字となっている」

・「ただし、23時以降は1時間当たり3万円の赤字となっており、収益が見込めない状況にある」

Orient(判断する)

Observe(観察する)の段階で得られた情報から、今までの経験や蓄積されたデータをもとに、改善に繋がる手段を考えます。

先ほどの例で言うと、3万円の赤字を解消するための手段や方向性などを見極める段階です。

Decide(決定する)

どのような手段や方向性が必要か判断した後は、何をどのように実行するか決定します。今回の場合、「営業時間は黒字となる22時までにする」ということを決定します。ここで注意することは、決定するまでに時間をかけすぎないことです。

OODAループは、スピード感を持って物事を進められることがメリットですが、時間をかけすぎるとせっかくのメリットが得られなくなってしまいます。

Action(実行する)

最後に実行します。

先ほどの例を挙げると、最後に「実際に△△という店舗の営業時間を22時にする」と実行に移します。

その後、最初のObserve(観察)に戻るという流れを繰り返すことが、OODAループです。
 

OODAループが求められるビジネスシーンとは

起業初期の段階

起業初期の段階では、入念に計画を練ったうえで事業をスタートさせたとしても、商品に対する顧客の反応が想定外だったり、資金繰りが苦しくなったりと、様々なトラブルが危惧されます。

OODAループはスピード感をもって改善と行動を繰り返すため、そのようなトラブルに対して、すばやく対応することが可能です。
 

変化や競争が激しい業界

PDCAは行動を起こすまでに入念に計画を練る必要があるため、スピードが遅くなります。

飲食業界やファッション業界など、消費者のニーズの変化が激しい業界では、計画の段階で予想外な出来事が起こりやすいため、PDCAサイクルを行うと、ニーズの変化に追いつけないことや、予想外の出来事に早急に対応できない可能性があります。

そのような場面では、OODAループを使用することで、消費者のニーズの変化や予想外の出来事にも、迅速に対応することができます。
 

まとめ

OODAループは、突然の出来事に対して、スピード感を持って対応することが可能であり、物事を迅速に進められるといったメリットがあります。その反面、PDCAサイクルよりも綿密に戦略を練る時間が少ないため、失敗するリスクが高くなります。

OODAループとPDCAサイクルはどちらが優れているということではなく、状況によって上手く使い分けるようにしましょう。

ゆっくり確実に計画・改善を重ねていく必要があればPDCAサイクルを行い、確実性が多少損なわれても、素早く決定・行動を起こす必要があればOODAループを行うと良いです。

PDCAサイクルとOODAループを巧みに使い分けることによって、場面に応じた適切な戦略を立てることができ、一つ一つの問題を乗り越えて行くことができるため、着実に事業を成長させることができます。