知って損はない?
ヘッドレスCMSの活用ケースのご紹介

WD2022年4月号で特集されたヘッドレスCMS(Web Desigingより)

昨年の4月号で特集されたヘッドレスCMS。次世代のスタンダードになるか、バズワードで終わるか、見ものですが、百聞は一見にしかずということで、何個かのサービスを試しました。その中で、感じた点を踏まえ、どのような利用形態に向いているか記載しようと思いますので、特にWEBマガジンサイト運営をされている方、スマートフォンアプリでサービス提供されていらっしゃる方は活用できる可能性が高いのでご一読いただけたらと思います。

そもそもヘッドレスCMSって何?

一般にCMSとは「データを保存する機能」+「描画する機能」の両方をもったものを指します。それに対して、ヘッドレスCMSは「データを保存する機能」のみを持ちます。

描画側に関しては持ち合わせていないのですが、それは描画する側から、ヘッドレスCMSに登録したデータを呼び出し、コンテンツ表示を行うことを想定しているためです。

例えばスマホアプリで見れるニュースサービスは、アプリでコンテンツを見れることはもちろんのこと、WEBサイトとしても見れる場合がほとんどかと思います。データは1つの場所で管理されており、スマホ用、WEBサイト用それぞれにデータを持っているわけではなく、CMS管理画面で記事を登録すると、様々なデバイス向けに同時に配信される仕組みをとります。

つまり、データを1か所で管理し、様々なデバイスで共通利用するためのデータ保管庫がこのヘッドレスCMS大きな特徴です。

活用ケース1:WEBサイトリニューアルに備え、コンテンツの再登録を不要とするためのデータ保管庫としての活用

WEBサイトをリニューアルするときに、CMSで入力したブログを移行するか、捨てるか、事例集を捨てるか移行するかといった「データ移行」について必ず検討が必要になります。データサイズ、データ構造、CMSの仕組みの変更など、実際に移行するとなるとWEBサイトデザインや製作以上のコストがかかる場合があります。

そこで、活用できるのがこのヘッドレスCMSです。データ保管の役割に徹するので、WEBページの新デザインを作る際に、ヘッドレスCMSと連携することを考えて設計さえすればデータ移行が不要になります。

特に、WEBマガジンを運営しているサイト、施工事例が大変多いサイト、不動産などの検索サイト、各種ポータルサイトなどは情報自体が価値であり、データ移行をしないという選択肢はありません。

でもデザインを今風なものにリニューアルしたいというタイミングは定期的に訪れます。このようなことを想定してはじめからヘッドレスCMSにデータを登録するシステム構成にすることでそのリスクを回避できます。

活用ケース2:スマートフォン向けCMSの開発コストの削減

スマートフォンアプリを作る際は、必ず管理画面を構築します。毎回変更がある度に、アプリの修正版をストアから配信していると、ユーザも毎日アップデートが必要となるため、そのような運用は現実的ではありません。

そのためアプリとは別で、日常的な変更を管理するためのCMS管理画面開発がセットとなってきます。結果的にスマホアプリ開発コスト、CMS開発コストの両方が必要になります。

ここで活用できるのがヘッドレスCMSで、CMS管理画面開発をすることなくヘッドレスCMSを活用することで、大幅なコストダウンができます。

ヘッドレスCMSの導入における懸念点

メリットばかりではなく懸念点もありますので、次のことを頭の中に入れておく必要があります。

ランニングコストがかかる

ヘッドレスCMSは、一般的なCMS開発に比べてイニシャル費用は非常に下がりますがクラウドサービスであるためランニングコストがかかります。データ量などによる従量課金の場合が多いようですが最低限5000円/月程度は考慮が必要です。

年間にしても6万円と考えるとCMSをゼロから作るよりは遥かにコストが安いため、そこまでの問題ではないと考えられます。

サービス終了リスクがある

この問題はヘッドレスCMSに限った話ではないですが、クラウドサービスである以上この問題がつきまといます。サービス終了後ある程度のダウンロード期間を設けるのが一般的かとも思いますが、何かしらの定期的なローカルへのバックアップなど大事な資産がサービス終了とともに失われないように考慮が必要です。

 

対応できるWEBサイト制作会社が少なくなる

主に、WEBサイト制作会社はWordpressを前提に作成するのがスタンダードです。Wordpress自体がCMSであるため、Wordpressを得意とする業者はわざわざヘッドレスCMSを使う必要もありませんし、サーバサイドプログラミングの知識が必要になるため、システム開発傾向が強い会社、またはスマホートフォンアプリに強い会社のほうが活用できるケースが多いと考えられます。

そのため、ヘッドレスCMSを採用する場合は、WEBサイト制作会社というよりは、システム系に強い企業へ相談するほうが無難かと考えます。

まとめ

便利といえば便利なので非常に活用できる可能性を秘めている仕組みではありますが、まだ事例も多くない感覚があり、現実的には2つ目のスマホアプリでの専用CMSとして使用するのが現実的なのかと感じています。

また、長期保管データではなく、ある程度の使用期間が限定されているもののほうが安心かと思います。

本ケースの1で上げた活用方法が、特に費用対効果が高い活用例とは思いますが、ヘッドレスCMSのサービスの継続が長期化することを前提としているため、まだ、一強と言われるほどの業者がいない状態であるためもうしばらく台頭するサービスがでてから本格採用が良いのではないかと総合的に感じています。

可能性模索ということで、ヘッドレスCMSを活用した構成でご検討されたい方がいらっしゃいましたらご相談頂けますと幸いです。